Interview
ノートに書き込み、
なりたいイメージを視覚化する
菓子研究家/株式会社romi-unie代表
いがらしろみさん

「創造と文具」をテーマにしたインタビューの3回目は、いがらしろみさんです。いがらしさんは、鎌倉のジャム専門店「ロミ・ユニ コンフィチュール」と、学芸大学にある焼菓子とジャムの専門店「メゾン ロミ・ユニ」の2店舗を営むお菓子の研究家。ロルバーンダイアリーをスケジュール管理に使っていると聞き、鎌倉のお店を訪れました。
Photo:Yasuyuki Takaki Text:Chizuru Atsuta
21歳から続けている「10年計画表」
―いがらしさんはどのようにスケジュールを管理されていますか。
私の場合、仕事とプライベートは区別せず、すべて一緒に管理しています。どんな予定も1冊の手帳に書き込んで完結したいタイプなので、仕事のミーティングから子供の行事まで、全部ここに入っています。分けたら絶対ダブルブッキングしてしまいそうなので(笑)。昔からよく使っているのがロルバーンの手帳。ここ数年、特に愛用しているのが前半にマンスリーのスケジュール、後半にノートが付いたロルバーンダイアリーです。後ろのクリアポケットにメモや領収書、大事なお知らせもまとめて入れることができて本当に便利です。

―仕事上でのアイデアはどのように思いつき、ストックされていますか。
仕事で考えるべきことは、レシピの考案だけでなくイベントのプロデュースやディレクション、店のビジョンや人事といった経営に関することまでさまざまあります。どれも打ち合わせをしながら、頭の中を整理するためにも、とにかくノートに書くことが多いですね。言葉はもちろん、イラストの場合もありますが、誰かにイメージを伝えないといけない場合は、図解にしておくと相手に説明をしやすいです。

―いがらしさんが実践されている「10年計画表」を教えてください。
私が21歳くらいのときから作っているのが10年計画表。最初は留学から帰ってきて、この先どんな風にステップを踏んでいったらいいのかを自分の中で想定するためにやっていたものです。まず10年後の目標を設定して、一年ずつなりたい自分に向けて何をすべきか逆算して書き込んでいきます。ポイントは10年分を一気に見ることができるように一枚の紙に収まるように書くこと。それによって今何をすべきかが一目で見えてくるんです。逆に言うと、あともう数年しかないと焦る自分もいて、どんなことができるのかをクリアにするためにやると良いと思います。私の場合、今は家族が増えたので、子供と夫の年齢も同時に書いて、こうなりたい私に対して、そのとき家族はどんな状況かを見ています。

―ある意味、長期的なTo doリストのようなものでしょうか。
そうなのですが、1つルールとしては絶対マストではないこと。縛られて思いつめない方がいいので、夢と目標の間に設定したいと思っています。しかも、こういうことって普通はお正月に書く場合が多いと思うのですが、私は電車に乗っている時にやる。1時間あればサクサク書けるので、鎌倉と東京を往復する間にやるとちょうどいいんです(笑)。


―自分がどんなことを考えてるのかを俯瞰してみるためにも、書くということはとても必要なことなんですね。
10年計画は、あくまで今自分がどこにいるかを知るためのもの。だから例えば、実際に新しい店舗を形にしたいときはイメージしている物件や見取り図、配置などのディテールまでノートに書き込むんです。そうすると、不思議と物件もそれに合うようなものが見つかる。ノートに書き込み、自分が思い描いていることを明確にする、そのイメージが強いほど夢が叶いやすい気がするんです。実際、思っていたことが向こうからやってくるようなこともありました。自分のやりたい、なりたい姿をきちんと視覚化していくことは、夢を引き寄せるための一つの方法なのかもしれませんね。
